錆びてボロボロの工具箱を入手しましたので、それをキレイに補修しまして。
今回の作業も動画にしてみましたので、よろしければ見てやってください。
入手したのはKTCの両開きの工具箱です。
詳しい年式は分かりませんが、現行のモデルではない、少し前のモデルだと思います。
現行の両開きの工具箱はもっとカッコいいので、本当は新品でそちらを購入しようと思っていたのですが、『中古品を買って自分で直したりするのも面白そう!』という思い付きで、しなくても良い苦労をすることになりました。
あちこち塗装が剥がれて錆が多くあります。
穴が開いているほど酷い事は無いので、そのままでも工具箱としては使えるのは使えそうですが、この工具箱は家の中で使用したいと考えていますので、部屋の中での使用に足る状態になるよう、塗装しなおしてキレイにしてみたいと思います。
↓内部も錆びています。
そのままでは塗装ができませんので、可能な限り分解してみます。
この工具箱の各部品は全てリベットで留めてあります。
分解する時にはボルトナットで固定してある方が助かるのですが、そもそも工具箱を分解する事なんて普通は無いので、出っ張りが小さくなるリベットの方が良いのでしょう。
ドリルでリベットの皿部分を削って飛ばします。
皿部分が外れれば、裏からペンチでつまんで引っこ抜くことができます。↓
同じ要領で箱に付いているリベットを全て外します。
↑フタと内部の稼働部分の連結部分は裏側からドリルで削りました。
底箱とフタのヒンジの部分は長い棒が通してありますので、まずちょうどいい太さの棒を使ってコンコンと少し押し出します。(手元にちょうどいい太さのピンポンチが無かったので古くなったドリルの刃をポンチ代わりにしてハンマーで叩きました。)
うまく中の棒を押し出すと反対側に飛び出てきますので、それをプライヤーでつまんで引っ張り出します。
もっとなかなか抜けなくて苦労するかと思ったのですが、意外にもスムーズに引き出すことができました。
箱に付いているリベットを全て外して部品ごとに並べてみました。
中身の黒い可動する部分は普段から内側にあるだけあって、小傷はあれどサビはほとんど無いのと、これ以上分解すると元に戻すのが大変そうなので、洗浄するだけにしておきます。
上段のトレイは1つが紛失してしまったのか、購入時から1つしかありませんでしたので、部品単体で購入できないかといろいろ検索してみたのですが見当たりませんでした。代わりとなるようなちょうどいいサイズの物を探してみたり、FRPなどで作成してみたりしようかとも思いましたが、それは後からでも可能なので、とりあえず一旦保留にします。
まずはホコリや汚れを洗浄します。
使ったのは食器洗い用の中性洗剤です。
しっかり水洗いしたら乾燥させて、いよいよ塗装を剥離していきます。
ホルツの塗装はがし液を使います。
皮膚や粘膜に触れるとかなりマズいようなので、厚手のゴム手袋とメガネは必須です。
特にメガネは絶対した方が良いです。どんなに気を付けていてもピッと飛んだりすることがありますから。
塗装はがし液をカップに少量とって、それを刷毛で塗ります。
刷毛は使い捨てのつもりで100円しないお値打ち品です。
塗装の上にはがし液を塗るとみるみるうちに塗装が浮いてきます。
数秒~数十秒で浮いてきます。
もっと時間がかかるのかと思っていましたので驚きました。
気持ち良いというか、気持ち悪いというか、何とも複雑な気持ちになります。
塗装が浮いたらそれをスクレーパーやブラシでこすって除去します。
塗装が浮くとはいっても細かい部分が残ったり、なかなか剥離できない部分があったりで、少し塗っては剥がし、少し塗っては剥がしの繰り返しで結構大変でした。
↑あらかた剥離することができました。
ヒンジ部の細かい隙間部分の塗料がなかなか取り除けなかったりして、かなり時間がかかりました。気持ち良いのは最初だけで、かなり根気が必要な作業という事が分かりました。
古い塗装を剥離することができましたので、サンドペーパーで足付けをして、塗装していきます。
底部は少し歪みがあったので、整えられないかなと思い、木材などを当てがって少し叩いてみたのですが、あまりうまくいきそうになかったので気にしないことにしました。
途中で色んなことを気にし始めると嫌になってくるので、細かいことは気にせず勢いでどんどん進めていきます。
↓まずはサフェーサーを吹きます。
この時点でもう『かなりキレイになったなぁ感』があります。
でもまだ全体の半分です。まだ更に表面積の大きい『フタ』があります。
すでに『あまり好きじゃない作業』にランクインしつつある塗装の剥離を継続します。
「Fit」と書いたステッカー(謎)やカロッツェリアのロゴも塗装と一緒に剥がしながら、サフェーサーを吹くところまで、同じ手順で作業します。
↓塗れました。
実はフタの裏側は塗装は剥離せず、もともとの塗装の上からサフェーサーを塗りました。(最低限サンドペーパーをかけて足付けはしました。)
というのも、(剥離するのに疲れたので妥協・・)やはり内側だからなのか塗装の傷みも少なく錆びもありませんでしたので、上から塗っても大丈夫だろうと。
サフがしっかり乾燥したら、いよいよ色を塗ってきます。
今回はマツダの純正色【20PイノセントブルーMC】です。
紺と青の中間のような色で、暗めの青色です。
なぜこの色にしたのかというと、それは在庫があったから。
以前マツダのRX-7(FD3S)に乗っていたころにバンパーを補修するためにたくさん購入し、余っていたので消費することにしました。
塗り終わったのがこちら↑
塗ってから気づいたのですが、この色、よくある工具箱の色にそっくりです。
ホームセンターとかで売っている金属製の筐体の工具箱。
塗る前はFDカラーだと思って意気揚々と塗ったのに、なんだかオリジナリティの欠ける雰囲気になってしまいました。
どうせなら黄色とかオレンジとかにすれば良かったと若干後悔。
でも塗装自体は上手に出来ましたので気を取り直してクリアも塗ります。
クリアは水性のシリコン塗料を使いました。
塗る量が足らなかったのか表面の仕上がりが少し柚子肌で不満が残りましたが、このころになると疲れてきていて早く作業を完了させたいという気持ちが優先してきていますので、これで良しとして次の工程に移ります。
次はメッキ部品たちの研磨です。
大好きなPIKALでせっせと磨きます。
こういう作業は目に見えて違いが分かるので楽しいです。
ただ、こだわり出すと無限にやり続ける羽目になりますので、一定のところで妥協が必要です。(最近の私はすぐ妥協できるようになりました。笑)
工具箱内部の可動する黒い部分は、予定通り洗浄するだけにします。
前オーナーが取り付けた(?)プラ板&ガムテープの仕切り板もキレイに取り去ってやりました。
さて、いよいよ組み立てていきます。
まずは底部分。
この工具箱を入手した時から何も付いていなかったのですが、底の4か所に穴が開いています。
恐らく足が付いていたのだろうと思われる穴です。
そこにホームセンターで調達してきたゴム足を付けます。
ゴムにM4のボルトを通して内側からナットで固定します。
工具箱を開けたときに目に入る部分ですし、袋ナットにしました。
少しでも見た目を良くしたいのと、指が当たったりした時に角ばっていない方が良いだろうという配慮(?)です。↓
下から見るとこんな感じ↓ばっちりです。
あとは分解したときと逆の手順で組み立てていくだけです。
もともとリベットで組付けてあった部分は全てボルトナットに置き換えます。
M4のボルトで場所によってプラスだったり六角だったりと頭の形状を変えて、こだわっている感を出します。
底部分とフタのヒンジになる部分には、もともと刺さっていた棒を差し戻して接続します。
外した時と同様、もっと差し込むのに苦労するかと思ったら、意外にもスルッと入って感動しました。
フタを開いたときに可動する内部との接続部分は(説明難しい)しっかり締め付けて固定してしまうと動かなくなってしまいますので、ダブルナットで固定しました。
フタと金具はフリーの状態で、ナットとナットで固定されていて抜けない状態。(説明難しい)
最後に取っ手のカバーを取り付け
ここはボルトの長さが大事です。
あんまり長いと飛び出してしまい、反対側のフタと干渉してしまうので、ちょうどいい長さの物を用意するのがポイントです。
という事で完成しました。
ちゃんと機能的にも問題なし!
最初がコレ↓
作業前の状態と比べるととてもキレイになりました。
塗装のクオリティが素人+αですが、自宅で使用するだけですし大丈夫な品質でしょう。
強いて言えば、もっとオリジナリティと言いますか、せっかく塗ったのならあまり他にない色にすれば良かったかなぁと。
でも家の中に置く事を考えると落ち着いた色の方が散らかって見えないので、これはこれで良い!とします。
塗装剥離剤をちゃんと使用した事が今まであまり無かったので、すごく良い経験になりました。
やっぱりボロボロの物をキレイにするのは楽しいです。
しかし、KTCの新品の工具箱を購入するよりは安いですが、実際のところ作業には数時間を要していますし、中古の工具箱代・各種溶剤・塗料代などを考えると、金銭的にすごくお得というわけでもないです。
なので作業を楽しめる人にはおススメですが、純粋に工具箱が欲しい人は新品を買った方が良いと思います。
(だからこそ、もっと変わった色にして自分で塗らなければ手に入らない色の工具箱にすれば良かった。何回言うねん)
ちなみに、この工具箱は奥さんの趣味のレザークラフト道具入れに就職しました。
長く使ってもらえると良いな~。