またしてもマキタのインパクトドライバーネタです。
前回の記事でも紹介しましたが、先日同じマキタのインパクトドライバーTD-131Dを上手に(?)オーバーホールできたことに味をしめて、ヤフオク!でまたしてもジャンク品を購入しました。
出品者の記載した情報によると『モーターが焼き付いている様です。』とのことで、正真正銘ジャンク品の様でした。
『モーターが焼き付く』というのはよく聞く話ですが、焼き付いたモーターというのを実際に自分の目で見たことはありません。
送料込みでも2000円もしないし、後学の為にも焼き付いたモーターというのを実際に見てみよう!ということで、修理できなくてもいいやというダメ元精神で購入しました。
届いた商品はジャンク品という表現にふさわしく、綺麗とは言い難いずいぶんとくたびれた見た目をしています。
商品は本体だけでしたので、もともと持っている互換品の14.4Vのバッテリーを装着して動作確認してみます。
モーターが焼き付いているということですので、焦げ臭いニオイがしたり、火花が飛んだり、もしかしたら火が出たりするかもなどとワクワクしながらスイッチを押すと・・・
ギュイーーーーン
・・・どう見ても正常に動作しています。ハァ?
逆回転にしてみても問題なく動作。
少し長めに回してみても特に臭いも煙もなく、普通に回っています。
結果的にジャンク品というのは出品にあたって後から文句を言われないための予防線だったのか、他の物と勘違いだったのか、症状を誤認した物なのか、詳細は不明ですが壊れていませんでした。
ジャンク詐欺です!
インパクトドライバーが欲しかったのであればラッキーな話ですが、直前に同じ機種を治したばかりで使えるものが手元にありますし、焼き付いたモーターを見るのが目的でしたので残念な気持ちです。
ただ、少し動かしただけでは分からないモノなのかもしれませんし、部品をよく観察すれば異常が見つかるかもしれませんので、メンテナンスを兼ねて予定通り分解してみることにします。
まずは2本のボルトを抜いて背面のカバーを外し、
側面のボルトをすべて外してハウジングを分割します。
背面のカバーを外すとモーターのカーボンブラシを確認することができますので、取り外してチェックします。
ブラシは新品に近いぐらいの残量で交換の必要はなさそうです。
側面のボルトを外してから気付いたのですが、バンパーとハンマーカバーを外し忘れていました。前回はもともと付いていなかったので意識していませんでしたが、先にこれらを外しておくのが順序です。
ハウジングは爪などは無いので、ボルトを外せばそのままパカッと開きます。
ハウジングを分割してしまえば内部の部品はただ嵌っているだけなのでそのまま引き出せば外せます。
取り外したモーターをしつこく観察してみますがやはり異常はなさそうです。錆は出ていますが機能に影響を与えるほどではないですし、焼き付いたということであれば焦げたり溶けたりしていそうなものですがそんな様子もありません。
ハンマーも分解して確認しましたが、欠けやクラックもなく、なんならグリスも残っていて良好な様子。洗浄してグリスを詰め直して組み直しておきます。
※ハンマーケースのふたは逆ネジです。←ここ重要。
ハウジングや背面カバーなど、水にぬれても大丈夫な部品は水洗いします。
使い古しの歯ブラシを使って中性洗剤で洗浄します。
重曹や洗剤を使って漬け置き洗いするなど、更にきれいにする方法もあるそうですが、とりあえず今回は製品に思い入れがないので手抜きですが簡単な洗浄だけにします。
このまま組み立てて実働品の完成!作業終了!としても良いのですが、それだと前回と同じどころか前回よりも内容も薄く意味のない作業になってしまうので、今回は塗装にチャレンジしてみたいと思いつきました。
しかしサフ・上塗・クリアなどと通常の塗装の工程をすると、当たり前ですがそれぞれ塗料を用意する必要があります。
この商品自体、数百円もしなかったジャンク品。
その製品に何千円もかけて塗料を買うのはちょっと抵抗があります。
それにスプレーで塗装するとなると場所の用意や塗り分けのマスキングなど手間がとってもかかります。
もっと安価に、そしてできれば部屋の中で完結するような手軽な方法はない物かと思案した結果、
100円ショップの塗料を筆で塗る!という方法を試してみることにしました。
近所の100円ショップでプラスチックに塗れそうな塗料を探して見つけたのがこの塗料。
プラスチックを含め色々な素材に塗れると記載があり頼もしいです。
色はこれしか売っていなかったので選択肢はなくブリックレッドに決定。
ついでに筆とパレット代わりに透明の飲み物用のコップも購入して、合計330円の装備で塗装に挑みます。
※作業をする前からとても満足のいく仕上がりになるとは微塵も思っていません。でももしこれでそれなりの塗装ができたら、今後の作業の中でそれなりの仕上がりの塗装をしたいときの選択肢になりますし、ダメならダメで知見を得ることができますので、考えようによっては今回のような「失敗しても別に良い」という状況は貴重な機会ととらえる事も出来るなーと思ったのです。
コップに出してみると、結構粘度の高いドロッとした液体です。
一応水で薄めることもできるとの説明も記載がありましたが今回はそのまま使います。
粘度が高いだけに筆の跡がかなり残ると予想されますが、「筆の跡が良い味を出してる」という奇跡が起きることに期待して、何も考えずにとりあえず塗ってみます。
一応先ほど中性洗剤で洗浄していますので良いとは思ったものの、念のためメラミンスポンジに無水エタノールを染み込ませたもので全体を脱脂します。メラミンスポンジなので多少の足付け効果も期待していますがあんまり意味はないでしょう。
筆に塗料をたっぷりつけてそれを伸ばすように塗っていきます。
意外に伸びが良くどんどん塗れます。
やっぱり筆の跡は残るもののそんなに不恰好には見えません。
筆で色を塗るなんて学生時代に絵を描かされた時以来じゃないかと思いますが、意外に楽しいです。
黒いゴム部分は色を塗らずにそのままにするつもりですが、自分の器用さを信じて製品ラベル以外はマスキングをしていません。が、自分でも信じられないぐらい手が震えて本当にはみ出さずに塗るつもりなのかが疑わしいほどはみ出します。
でもなかなかいい感じに塗れました。
makitaのロゴ部分は艶消しのタッチペンでチョンチョンと黒に塗装。
浮き出しているロゴはすでに削れてしまっていて、境目がはっきりせず非常に塗りにくいですが、それが逆に手書きっぽい感じで良いフォントになったと言い聞かせます。
それとあまりにもはみ出した部分は上から黒く塗ってごまかしました。
塗装が完了しましたので組み立てます。
せっかくの塗装がキズついてしまわないようにタオルをひいてその上で作業します。
組み立ては以前のブログに詳細に(?)書いてありますのでそちらを参考にしていただくとして。
基本的に差し込んでいくだけなのでそんなに難易度が高くはないと思うのですが、組立時に注意することは
①LEDとその配線は最初に。
②モーターのマグネットは向きがあり切り欠きをハウジングの突起と合わせること。
ぐらいでしょうか。
組み立て時に念のためスイッチの動作確認として電圧の測定をしてみましたが正常でした。
バッテリーを直接測定した電圧が約16V。
(14.4Vのバッテリーですが満充電だとこれぐらいの電圧が正常らしいです。)
それをブラシホルダーに接続してブラシの入る部分に検電テスターを当てて測定します。
スイッチを一番握った状態で16V。
スイッチの握り具合に応じて電圧が変化する様子も確認できました。
特に異常も見当たらず、一見ほこりにまみれたスイッチもちゃんと作動していることが分かります。
モーターが焼き付いているとは本当に何だったのか・・
部品をはめ込んだらふたをして、ハンマーケースとバンパーを取り付けたら完成。
純正でもこんなような色があったような気がしますが、何とも言えない微妙な雰囲気を醸し出す、味わい深いオリジナルカラーのインパクトドライバーが完成しました。
実際には手で持つ部分も含まれますし、床に置いたりすることも考えると、塗装はすぐに傷ついて剥がれてきてしまうでしょうから、リペアとしての理想は染色するのが望ましいと思うのですが、染色は煮たりするのが大変そうですし、今回の塗装にかかったコストは330円ということを考えれば充分楽しめました。
今回の作業で筆で色を塗るのは楽しいという気付きを得ましたので今後も塗料や筆の選定、マスキング箇所などの作業工程を見直して、コスト・手間・仕上がりのバランスを考えて、筆塗り塗装の可能性を追求していくのも悪くないなと思いました。
この作業の様子も動画にしまして、youtubeにアップしておりますので是非ご覧いただけますと嬉しいです。