今回もヤフオクで購入したジャンク品で遊びます。
入手したのはマキタのジグソーです。
製品のデザイン的にかなり年代物だと思われます。
かろうじて付いているラベルのモデル名の欄には4300SBと表記があります。
ジャンク品として販売されていたもので、出品者の方いわく
「動作確認しましたが動きません」とのこと。
壊れた古い製品の良い所は価格が安い事。
なんとお値段300円。
(送料の方が高いパターン)
到着した製品をコンセントにつないで作動を確認してみましたが、表記の通りウンともスンともいわず、全く動きません。
ジグソーの分解は初めてですが、何が壊れているのか確認すべく、さっそく分解していきます。
まずはベースという名前らしい底部の黒い板を取り外し。
六角一本で外せます。
側面にみえるプラスネジも全て外すとパカッと開けることができました。
古い製品なので構造が比較的単純で、爪や隠しボルトなども無く簡単に開けることができます。
内部は想像していたよりキレイで、ホコリや木くずが大量に詰まっているかと思っていたのですがそんなことは無かったです。
ぱっと見で明らかに断線しているような箇所も無く正常な様子です。
カーボンブラシが摩耗していて通電していないのではないかと予想していたのですが、充分な残量があり犯人はブラシではないようです。
眺めていても原因は特定できなさそうなので、さらに分解していきます。
配線やモーターはケースに収めてあるだけでネジなどで固定されているわけではないので持ち上げるだけで外せます。
電源コードの根元部分と、モーターからシャフトに動力を伝えるギヤの部分だけネジで固定されているのでドライバーを使って外します。
取り外したモーターをチェックして見ますがこちらも正常な様子。
ブラシの当たり面もピカピカではないですが通電しなくなるほど汚れているわけでもないようですし、軸も曲がったりはしていません。
故障症状が【全く動かない】というもので、異音がするとか力が弱いとかじゃないので原因は配線関係にあるだろうと考えて、各所の通電を確認していると怪しい所を発見しました。
捜査線上に浮上した容疑者はトリガースイッチです。
オンとオフだけのシンプルなスイッチなのですが、テスターを繋いでトリガーを握っても通電していません。
内部で接触不良のようなのでスイッチを分解します。
ネジなどは無くプラスチックの筐体がツメで嵌め合わされているだけのようなので、ヘラを使って分解します。
内部には小さなスプリングや金属製のプレートがあって、落としてタンスの下にでも転がって行ってしまうと捜索に苦労しそうなので、なくさないように慎重に分解します。
スイッチ内部の構造を図示するとこんな感じ。
シーソーみたいになっていて、トリガーを握るとスプリングによって押し出された画像の赤い部分が金属製のプレートを押し下げて接触することで通電する仕組みのようです。
その接触する部分が黒ずんでいて、堆積した汚れにより絶縁状態のようです。
エタノールで拭いてみたりしてもキレイにならなかったのでヤスリを使って地金が見えるまで削ってみます。
削りすぎると届かなくなりそうなので、表面の黒くなっている部分だけをソッと削ります。
プレートが金属の輝きを取り戻したらスイッチを組み立てて、通電するか確認してみます。
シーン...
通電しませんでした。
恐らく懸念していた通り、削ったことで金属同士が届かなくなっているようです。
というかそもそも摩耗していて届かなくなっていたのかもしれません。
オンとオフだけのシンプルスイッチなので、汎用品もあるし、スイッチ自体を購入して交換することも考えたのですが、気分的に300円で買ったジグソーに過剰な投資をしたくありません。
故障箇所がスイッチだけとは限らず、部品を購入したのに最終的に使い物にならなかったら悲しいです。
要は接触して通電すれば良いのです。
そこで、はんだを盛ってカサ増しする事にしました。
一方の接触する部分に少しだけはんだを乗せて高くなるようにします。
(洗濯ばさみで部品をつまんで作業しやすくしています。)
キレイな半球状にはんだを盛ることができました。
正直言って、はんだが強固に付いているとは思えませんので耐久性には不安が残りますが、テスターの先っぽで突いても取れないぐらいには付いているようなので、とりあえずこれで作動するか確認してみます。
古い製品ですので、プラスチックの強度や柔軟性も不安です。
何回も分解したり組み立てたりしているうちに爪を折ってしまわないか不安でしたが、無事に組み立て出来ました。
スイッチにテスターを当ててトリガーを握ってみると
ピーーー
(通電した時の音)
スイッチの修理ができました。
さっそく組み立てて作動するか確認してみます。
動くかどうかの確認ができれば良いので、先っぽのシャフトは無しでモーターまでを組み立ててみます。
コンセントを繋いでスイッチを握ると
ギュイーーーン
(モーターが回る音)
元気よく回転してくれました。
動かない原因はスイッチの接触不良だったようです。
修理が完了しましたので、ついでにオーバーホールという事で再分解して洗浄&グリスアップもします。
長期間熟成されたグリスを取り除きます。
空間を埋めるようにギッチリ詰められています。
コーヒーを混ぜる木製の使い捨てマドラーで掻き出して除去します。
駆動部分の細かい部品たちも一旦分解します。
単純な構造ではありますが、分解して並べてみると結構な部品点数です。
特にワッシャーの位置や順番が分からなくなりそうなので、よく確認しながら分解しませう。
モーターや配線類は無水エタノールで拭きふき。
ケースやギヤなどの水にぬれても問題なさそうな部品たちは、洗剤とブラシで水洗いしました。
内部でどういう動きをしているのかをじっくり観察。
モーターの回転運動がシャフトの往復運動に変換される機構を、
なるほどこうなっているのかと知見を得たような気分になって堪能します。
世界の秘密を知ったような気持ちになって十分に楽しんだら新しいグリスをこれでもかと詰めます。
グリスの適量ってホントによく分かりません。
そもそもグリスの種類もいっぱいあってどんな部分にどんなグリスが適しているのか、勉強しないといけないなと思いながらいつも適当。
部品同士が接触する部分に漏れなくグリスを塗り込んで、元の状態に組み戻したら作業は完了。
せっかくジグソーを入手したので、何か切断してみたい!
という事でブレードを購入しました。
ビッグマンというメーカーの各社のジグソーに使える木工用ブレードセット。
900円ぐらい。ジグソー本体の3倍やんけ!
六角を使って本体に取り付け。
汎用品という事できちんと取付できるかちょっと不安でしたが問題なく取付できました。
その辺に落ちてた木片を切断してみます。
切断できました。楽しい!
修理作業中に製品のラベルが剥がれてしまったので貼り直しておきます。
接着剤を塗ってマスキングテープで押さえ。
乾いたらテープを剥がします。
このラベルの古臭いデザインが一周回って逆にオシャレに感じます。
型番の表記もありますし、貴重な情報源ですので剥がれないようにしっかり接着しておきました。
というわけで、マキタのジグソーの修理完了しました。
壊れた機械とばっかり遊んでいて、日頃あまり木工をする機会は無いのですが、この調子で木工に使えるジャンク品を集めて、ジャンク修理品だけで作る木工製品にも挑戦してみたいです。
修理の様子を動画にもしてみましたので、お暇な方はぜひ観てやってくださいませ。