今回はKTCのラチェットレンチの修理です
ベーシックな形状のラチェットレンチですが、差し込み角が1/2インチの物です。
車やバイクに使用するのは3/8インチの物が多いと思うので、一回り大きいサイズの物です。
父親と工具を共有しているので、いつ買った物なのかは不明です。
少なくとも新しいものでは無いのですが、回転方向を変えるレバーが折れてしまいました。
ラチェットとしての機能は問題ないのですが、回転方向を変えることができません。
締める専用になってしまっていますので、これを修理したいと思います。
さっそく分解していきます。
ちゃんとKTCのドライバーを使用して、見えている2本のネジを外します。
下調べによると、とっても固いという話もありましたので身構えていたのですが、簡単に緩みました。
もしかすると(おそらく父親の手によって)一回分解された事があるのかもしれません。
ネジは2本ありますので、2本とも外します。
ネジが外れたらフタになっているパネルを、ひっかけて外します。
頻繁に使用する割に、どのような仕組みになっているか考えたことも無かったので、この機会に内部をじっくり観察します。
一方向には滑って回るけど、逆回転しようとすると引っ掛かって回らないという感じの構造です。
そしてコウモリのような形の部品をレバーを介して手で90℃ほど回転させると、向きが逆になって回転方向が変わるという事のようです。
何を見ても思いますが、これを考えた人は本当に頭が良いと思います。
ソケットを取り付ける大きいギアはそのまま引き抜くことができます。
回転方向を切り替えるコウモリのような形の部品の中央にネジが見えます。
切り替えレバーはこのネジで固定されているようです。
緩めようとするとレバーごと共回りしてしまいましたので、
裏からレバーを指で押さえて緩めました。
これで折れたレバーを外すことができそうなのですが、なかなか抜くことができません。
反対側からプライヤで掴もうとしても、折れてるし削れているしでうまく掴むことができません。
少し浮かした状態で、内部側からピンで押し込むことで無事に抜くことができました。
恐らく長かったであろう役目を終えて無残な姿になったレバーです。
レバーを抜くとコウモリのような部品を外すことができます。
部品図によるとクロウという名称らしいです。
一緒にボールもくっ付いてきました。
ボールが入っていた穴にはスプリングも入っています。
レバーを切り替えた時のカチッという感覚は、このボールとバネによるものなのですね。
これでバラバラにすることができました。
厳密にはソケットの抜け止め部分も分解できそうですが、今回の故障には関係ないので深追いしないことにします。
レバーは新品の補修部品を購入することができました。
400円ほどでした。
全体の割合からすると高い気がしますが仕方ありません。
せっかく分解したので、組み立てる前に各部品を清掃します。
清掃と言ってもアルコールで拭いて、古いグリスを取り除くぐらいの簡単な感じで済ませます。
汚れが取れない部品はパツクリも使います。
吹き返しでカメラがダメージを受けましたが、充分きれいになりました。
ボールもキレイに拭きます。
ギアもチェックしながら拭き掃除します。
欠けていたりすることも無く、問題なさそうです。
内部のバネとボールの動きが悪くならないように、潤滑剤をかけてしっかり馴染ませておきます。
そのままだとホコリを吸着しそうなので、しっかり拭き上げておきます。
グリスにまみれた小さなネジもキレイにします。
このへんの小さな部品がセットになったリペアキットも売っていたのですが、さらに高くつくので今回は再利用できるものは再利用します。
ケース?というか本体?の内部もキレイにします。
ボールやネジの穴の中もパツクリで洗い流します。
キズは多いですが機能的には何も影響ありません。充分キレイになりました。
それでは組み立てて行きます。
まずは穴の中にスプリングを入れます。
錆止めも兼ねてグリスを付けて入れます。
続きましてそのスプリングの上にボールを載せます。
そのボールを押さえる形でクロウをセットします。
ちなみにクロウは表裏がありますので注意です。
新品のレバーを差し込みます。
クロウとレバーを固定する形でネジを入れます。
レバーが回ってしまわないように指で押さえながらネジを締めます。
しっかり本締めする前に、ちゃんと作動するかギアを入れて確認します。
一方向にだけ回転することを確認。
レバーで切り替えできることも確認。
問題なさそうなので本締めします。
無事、レバーを使って切り替えできるようになりました。
もちろんラチェットとしての動きもOKです。
フタを閉める前に内部の動きを楽しんでおきます。
十分楽しんだらグリスを塗ります。
ギアとクロウの噛み合わせ部分にグリスを多めに塗って、ギアを手で回して全体に行き渡るように馴染ませます。
クロウとボールが接する部分もグリスしておきます。
全体にグリスが行き渡ったら余分なグリスは取り除きます。
フタを閉めます。
フタも裏表があります。
メイドインジャパンの刻印が好印象です。
ネジを2本締めて固定します。
ロック剤などを使用した方が良いかもしれませんが、手元に無いのでそのまま締めます。
これで修理は完了です。
レバーだけが新品で浮いていますがまあすぐに馴染むと思います。
正直使用頻度は低いのですが、あまり使わない分、買い替えるももったいないので、今回は低予算で修理することができて良かったなと思います。
作業の様子を動画にしてありますので、より詳細な作業手順をご覧になりたい方と、暇でしょうがない方はぜひご覧くださいませ。