ヤフオクでジャンク品のインパクトドライバーを購入して修理しまして。
今まであまり充電式の電動工具を使う機会は無かったのですが、最近になってちょっと興味が湧いてきました。
そもそも充電式の工具を敬遠していた理由は、性格的にマメじゃないので、うっかり充電を忘れていて肝心な時に充電が無くて使えない!という事になりそうだと思っていたからです。
特に出先で作業をするようなことも無いですし、それならばコード式の電動工具やエア工具でいいじゃんと。
その考え方は今も変わっていないのですが、ちゃんとバッテリーの管理さえできればそりゃコードやホースが無い方が取り回しも楽ですし、何より充電式の電動工具って見た目がカッコいいんですよね。
そんなわけで、新品を何万円も出して購入するのは抵抗があるけれど、充電式の充電工具を試してみたい。という事でもしジャンク品を安く買って自分で修理することができれば、構造の勉強にもなるし工具も手に入って一石二鳥と考えて今回の作業になりました。
それで今回購入したのがマキタのインパクトドライバーTD131Dです。
ちょっと調べてみると、もう十数年前のモデルのようです。
ですがバッテリーはイマドキのモデルと互換性が無いことも無いようですし、基本的な構造や使い方を学ぶには十分だと考えました。それに直せるかも分からないものを購入する訳ですので決め手はやっぱり安価なこと。充電器やバッテリーも付いて3,000円くらいでした。(結果的に充電器は使用できましたがこのバッテリーは死んでました。)
肝心の故障内容は、商品紹介の説明によると『スイッチを押しても動かない。指で回転を介助してやると回り出す。』という物でした。そのままでは動かないけど手助けしてやれば回り出すという事ですね。
実際に届いた商品にバッテリーを付けて試してみると、確かに説明の通り、スイッチを入れてもLEDが光るだけで回りません。
ただ、スイッチを押した状態で反対の手でゴンゴンと叩いて衝撃を与えてやると回り出します。
つまり接触不良っぽい。
ブラシ付きの直流モーターで接触不良の可能性が一番高い所と言えば、まずはモーターのカーボンブラシだと思いますが、どうでしょう・・という事でさっそく分解していきます。
まずは腰ベルトにひっかける金具が邪魔のでそれをサクッと外し、
ボルト2本で留まっている背面のカバーを外します。
ボルトを抜いたらあとは嵌っているだけなのでパカッと外す事ができます。
めちゃくちゃホコリだらけですごく汚いです。
この段階でブラシの確認、交換ができるのですが今回はせっかくなので全バラして全体的にオーバーホールしてみたいと思います。
側面に見えるボルトを全て外します。
側面は8本のボルトで留まっていますが背面カバーのボルトも含めて10本全て同じ長さのボルトでした。
こういう時、場所によって長さや太さの違うボルトが使われていると、どこがどのボルトだったか記録しないといけないのでめんどくさいのですが、同じだと混ざっても問題ないので嬉しいです。
ケースを開けたところ↓
画像でいうと右側から、
・バッテリーとの接続部分
・スイッチ部分
・左下のモーター部分
・左上のハンマー部分
という感じで役割別に大きく4つの構成のようです。
中身をケースから取り出し、カーボンブラシを取り出してみます。
ブラシから生えている配線が爪でホルダーにパチッとハマっていますので、まずはそれを取り外し。
そしたらバネで押さえつけられているブラシを下からグイっと押し出して取り外します。
外してビックリ。想像以上の摩耗具合です。
というかほとんど残っていません。
説明するまでも無いですが、両サイドの2つが新品で、真ん中の2つが今回取り外したものです。
そりゃ接触不良にもなるわと納得の短さです。
今回の不具合の原因はブラシであることはもう決定的ですが、引き続きオーバーホールを続けます。
↓今回購入した新品のカーボンブラシ
こちらはモーター部分です。
スプラインに欠けなども見当たりませんし、汚れてはいますが正常な様子。
削れたブラシのカスだと思いますが、磁石の部分に鉄粉のようなものが大量に引き寄せられていますのでこれは洗浄します。
次は先端のビットを差し込むスリーブ部分を分解します。
ココにはスプリングが入っていて、それをワッシャで押さえて、その上からCリングで留めてある形です。
なので先のとがった棒でCリングをグイっと開いて外します。
外した瞬間にスプリングに押し出されてCリングとワッシャーが飛んでいかないように注意が必要です。
もちろん私は飛んでいきました。
幸い部屋の中での作業でしたので普通に回収できました。
あと小さいボールも2個側面に入っていますので、それも無くならないように注意が必要です。
先端を分解出来たら、反対側のフタを開けてハンマー部分の中身をチェックします。
フタはネジになっていますのでモンキーで緩めるのですが、結構固く締まっていて、私の赤ちゃん並みの握力では素手で持って緩めるのはムリでしたので、万力で挟んで緩めました。
ここで大事なポイントがありまして、それは逆ネジという事です。
通常のネジとは違って、時計回りに回すと緩むので注意が必要です。
幸い私は予習していましたので大丈夫でしたが、これは事前に知らないとかなり沼っていた可能性があります。
こういった事をブログやYouTubeで情報提供してくれる諸先輩方に感謝します。
無事にフタが開いたら中身を取り出します。
中には歯車の部品が入っていますが、グリスも切れていないようですし、欠け・割れ・ひび等も見当たりません。
摩耗している様子も無いですしハンマー部分は良好な状態のようです。
(写真が暗くてすいません。)
ハンマーにはスプリングが付いていますが、このスプリングがうまい事作用することで連続したインパクトができるような仕組みになっているようです。
とりあえずここまででほぼすべての部品が外せたので、水洗いできる部品は洗剤で洗浄を。スイッチやモーターのブラシホルダーなどの電気関係の部品はホコリを払ってエアを吹いてキレイにします。
本当はスイッチも分解して接点をキレイにしたり構造を確認してみたりしたかったのですが、どうやら接着してあるような感じで、開けるのも戻すのも大変そうでしたし、最悪壊すことになりそうでしたので、今回はムリせずそのままホコリを飛ばす程度にしました。
またいつかスイッチの故障が疑われる症状が出たときに、玉砕覚悟で挑戦してみたいと思います。
グリスをたっぷり塗布しながら分解したときと逆の手順で組み立てて行きます。
外した通り組み立てて行くだけなので、そんなに難しいことは無いのですが、手間取ったポイントが2か所だけ。
一つはモーターのマグネットの部品なのですが、4つの角のうち1箇所だけ凹んでいる切り欠きがあります。この切り欠きがピッタリ合うようにケース側には突起があります。
これが合うような向きで取り付けないとしっかり納まりません。
特に向きを意識せずに取り付けようとしていて、なんか収まりが悪いなぁと思ったらちゃんと合わせるべきところがありました。
もう一つは前面のLEDに繋がる配線の通り道です。
これも適当に押し込んでケースを締めようとしたらどこかに挟まって、しっかりケースが閉じませんでした。
よく見るとケース側にちゃんとこの配線を通すための溝があって、そこにしっかり通したら問題なく収まりました。
あとは背面カバーを付けるだけ。というところまで戻ってきたら、新品のブラシを取り付けます。
ブラシを押さえつけるためのバネを一旦持ち上げておいて、ブラシを差し込みます。
ブラシは一応向きがありますが、ブラシから生えている配線が通る向きでしか入りませんので、実物を見れば迷うことは無いと思います。
ブラシを差し込んで、バネできちんと押さえつけられている状態を確認したら配線の爪を指で押してパチッとはめればOKです。
もちろん2個ありますので、2個とも新品に交換します。
交換前はブラシが短すぎてモーターに届くか届かないかギリギリだったんだと思います。そこに手で叩いた衝撃で振動することで接触して回り出す。という状態だったのだと思われます。
新品のブラシはしっかりと接触していますので、もう大丈夫なはず。
今回奮発して購入した新品の背面カバー759円とハンマーケースカバー220円・前面のバンパー(シリコンのクッションみたいな部分)220円を取り付けたら完成です。
別にインパクトドライバとしての機能的にはカバー類を新品にする必要はなかったのですが、それぞれそんなに高価なものではないですし、目立つ部分で面積の大きい部分が新品になることで、全体的な印象もかなりキレイに見えますので、おススメです。
作業後、バッテリーを取付てスイッチを押して動作確認してみると、押した瞬間にギュンギュン回ってバッチリ動作しました。
無事に修理完了です。
修理と言っても結果的にはカーボンブラシを交換しただけなので、消耗品の交換をしただけと言えばそれだけなのですが、初めて触るものですし、全体的に分解して洗浄やグリスアップもすることが出来ましたので、それなりに達成感はあります。
お値打ちな互換品ですがマキタ用の14.4Vのバッテリーも購入した事ですし、今後はインパクトドライバ以外の充電式の電動工具も機会があれば入手してみたいと思います。
そして、計画的に作業前に充電して活用していく運用ができるのか、自分で試してみたいと思います。
ちなみにこの作業の様子を動画にもしましたので、もしよろしければご覧いただけますと嬉しいです。
追記
後日、別個体ですが同じ機種の塗装にも挑戦しましたのでそちらもぜひご覧ください。